花吹雪の舞う季節となりました。みなさまいかがお過ごしでしょうか。
不安な毎日はまだまだ続いておりますが花々の喜んでいる姿に元気をもらいます。
今日は先日公演を無事に終えることができました「魔笛」の詳しいご報告をいたします。
まずは稽古の様子をほんの少し…
練習は昨年の8月から始まりました。
今年の1月までは月2回のペースで行う予定を立てておりましたが、緊急事態宣言やまん延防止など、中止せざるを得ない練習日もありました。
写真は音楽稽古初日、昨年8月1日の様子です。
指揮者の佐藤和男さん、初日からずっと音楽を一緒に作り上げてくださいました。
感染防止対策として広くて換気の良い場所で行いました。
毎回の稽古前に必ず抗原検査を行い体調管理を万全にして稽古に取り組みました。
11月23日から立ち稽古が始まり、演出家の馬場紀碧さんから、舞台の模型や映像、コンセプトをイメージする絵を交えて今回の舞台への思いを熱く、わかりやすく伝えていただきました。
今後どのような舞台になっていくか楽しみとワクワク感もありましたがそれ以上に身が引き締まる思いでした。
舞台でどう表現するか、どうすれば伝わるか、原語上演でも内容がお客様にどうしたら伝わるか
音楽、言葉、動き…演じることの難しさに試行錯誤しながら毎回の稽古に挑みました。
感染拡大の時期もあり稽古を中止せざるを得なくなったりしましたが、毎回の稽古の動画をみたり、それぞれ自主練をしつつ、モチベーションを保っていました。
稽古が再開できた時はホッとしましたが、まだまだ納得出来ていない不安に焦りも感じました。一人一人が自分の役を研究し、時にはお互いに意見を出し合い、成長していきました。
根気強くアドバイスをしてくださった馬場さん、佐藤さん、また、何度も稽古にお付き合いくださった村松さんに感謝いたします。
全2幕より抜粋 G.P.と本番の画像と共に物語をご紹介します。
(舞台転換はスタッフと出演者で行っています)
パパゲーノと話し、タミーノのことを知ったパミーナはタミーノに思いを馳せます。
そんな中パパゲーノにも大切に思う人はきっとみつかると諭されパミーナと二人で愛の二重唱を歌います。
一方、タミーノは童子達に導かれ、彼らの賢い教えを胸にザラストロの城へ進みます。
そこへある男から「ザラストロは本当に悪しき者であろうか…
目に見えることだけが真実とは限らない。勇気と友情がお前を城へと導く」と告げられます。
パパゲーノの笛の音にタミーノが応え、お互いの元へ急いで行こうとします。そんな中、パパゲーノとパミーナの元に二人を捕えようと奴隷たちが現れます。危機一髪のところ、パパゲーノが持つ銀の鈴の音の魅力に奴隷たちは引き込まれ歌いだし、踊りだして退散します。
パミーナはザラストロから逃れたことへの許しを請います。彼は全てわかっていました。ただ、まだパミーナを自由にはできないと伝えます。そこへタミーノが現れ、はじめて出会った二人はお互いの熱く固い気持ちを確認します。しかし、ザラストロは二人に試練を与えます。
家臣から受け取った封筒の中身はタミーノには合格通知、そして次の試練へと書いてありました。タミーノは早速次の試練へ向かいます。
一人取り残されたパパゲーノの封筒の中身には追試の通知… やりたくないと愚痴をこぼすとまた雷鳴が轟きます。
「タミーノ~ まって~~」…
道に迷ってしまったパミーナの元に夜の女王が現れます。「この短剣でザラストロを殺し、太陽の輪を奪い返してくるんだ!わかったね」嫌がるパミーナを女王の迫力でねじ伏せ、復讐のアリアを歌います。
「ザラストロを殺さなければお前はもう娘ではない」
一方、タミーノとパパゲーノ、
パパゲーノは文句ばかり、そこへ見知らぬ老婆が登場。パパゲーノに水やパンの入ったカゴを差し出します。話し相手のいない退屈なパパゲーノは老婆と会話を楽しむことにしました。
歳は18歳と2分という老婆に彼氏はパパゲーノと告げられ、慌てふためいてしまいます。老婆の正体は…
そして、沈黙を守れないパパゲーノに再び雷鳴が轟きます。
「…休憩しましょうよ~」とタミーノに声をかけるが反応乏しく…、パパゲーノはパンを食べ始め、タミーノは、笛を吹き始めます。
すると、その笛の音を頼りに、パミーナがやってきます。しかし、二人とも…応えてはくれず…
「愛の幸せは去ってしまった…」と、嘆きのアリアを歌うのでした。
ザラストロとタミーノ
「タミーノよ、今は辛いだろうが耐えるのだ。これはパミーナへの試練でもある。パミーナ自身も、彼女の試練を乗り越えて二人で力を合わせた時、新たな世界が始まるのだ」
と、続く試練の道を進むのでした。
独り残されたパパゲーノ…
…俺も可愛い彼女か奥さんがほしいなぁ~と、ワインを片手に歌います。
いい気分に酔っ払って気がつくと、そこに先程の老婆が現れます。
老婆の強引なまでの説得によって、独りで居るよりマシか!と、二人で暮らす約束をします。すると老婆は途端にパパゲーナに!
驚いたのも束の間、またしても改心しないパパゲーノに雷鳴が轟きます。
そして二人は離れ離れになってしまいます。。
神々しい三人の歌声が響く中、沈黙の試練を彼らが課せられている事を知らず パミーナも独り苦しんでいました。
なぜ話してくれないのか、タミーノに絶望し、夜の女王(母)から渡された短剣を使って自らの命を絶とうとしますが、その様子を伺っていた童子達が止めに入ります。
「貴方はきっと驚くよ、
タミーノに、とても愛されているから
さあ一緒に彼のところへ行こう!」
「私のタミーノ、何と言う幸せ。」
「私のパミーナ、何と言う幸せだ。」
試練はまだ続くけれど、どんな処でも、貴方の側に居るわ
一方、パパゲーノは喋りすぎたから当然の報いだ、、もうパパゲーナとは会えない…と、落胆し死を試みます。
けれども、中々踏み切れないパパゲーノは、三つ数を数えるまでに誰か止めてくれるかもしれないと、鳥笛を吹いてゆっくり数えます…
しかし何の応えもなく、、
仕方なく死を決心します。
夜の女王達は…
「私の言った通り
娘は私たちの手に」
『お嬢様は私たちの手に!!』
「奴等の不意を襲い
炎と剣で息の根を止めてやる」
『偉大なる夜の女王様!!
復讐の生け贄を、
ここに捧げましょう』
雷鳴と稲妻が轟き、
夜の女王達は…
ザラストロ
「闇は消え 陽は昇り 邪悪なモノは滅び去った」
と唱えます。
最後の合唱
『徳は勝利を治め
彼の者は褒美の戴冠を受ける
永遠の徳と叡知は、
清き者、賢き者や全ての者に
平和をもたらすだろう!!』
舞台袖です。
この四角のマスに個々の飲み物や舞台袖まで付けてきたマスクを袋にいれて置きます。
舞台上で使用する小道具を定位置に置きます。
違うところに置いてしまうと見つけることが大変なので道具にも名前を書いて居場所を用意!とても重要です!!
舞台袖の待機場所です。
以上、公演のご報告でした。全てご覧くださり、ありがとうございました。
今回、貴重な時間をヴェルデ会のために尽くして下さいました 指揮者、演出家、客演のみなさまからお言葉を頂戴しました。
指揮者 佐藤和男氏
稽古から本番まで、会長の大貫裕子さんの「ヴェルデ会の会員たちを、どこのカンパニーに行っても、ちゃんとやれる歌い手に育てたい」という一貫した強い信念を、皆さんが共有出来た事、とても素晴しいと思います。今後もヴェルデ会が、この方向性で継続、発展する様に応援しております。
今回、ヴェルデ会主催「魔笛」公演の演出を担当させていただいた馬場紀碧です。今回の演出は台本の世界観を忠実に表現する事をコンセプトに行いました。会員の高田正人氏が書いた台詞台本は、要点を押さえつつ簡潔で、こうしたコンセプトに相応しいものでした。そして、ヴェルデ会とご縁のあるスタッフの力は、コンセプト実現に不可欠なものでした。奥村知之氏の映像は、劇場空間の限られた条件の中で、複雑な物語を楽しく視覚化してくれました。高崎利成氏は適格な音響効果を台詞や歌唱の途中にキャストのような呼吸で入れてくれました。そしてなにより、照明の芦部正氏は短い仕込み時間の中で完璧な照明を作ってくれました。また、大道具の転換も、キャストの協力で行いました。これは、「より良い世界を皆で作っていこう」というこの作品のテーマを伝えるのに役立ったと信じています。歌唱・演技だけでも大変な作品ですが、歌手の皆さんは緊張感をもっていい演奏・いい演技・いい舞台を作ってくれました。オペラはエンターテイメントであると同時に、過去の名作に向かって個人個人が、関わりを持って作り上げていくカルチャーでもあります。今回のヴェルデ会「魔笛」では、改めてそうしたオペラの力を感じる事が出来ました。
昨年の夏から少しずつ始まった魔笛の稽古でしたが、蓋を開けてみれば、年始のオミクロン蔓延のために稽古が中止になり、時間のない中、仕上げなければいけない状況に立たされていました。しかし皆さんの頑張りと、何より演出の馬場さんの熱い指導のおかげで本番まで駆け抜けて行けたように思います。むしろ短い間に集中し一丸となって稽古した事により、一体感が生まれたのかもしれません。村松個人としましては、ヴェルデ会の皆様が温かく迎えて下さり、ただただ幸せな時間を過ごさせて頂きました。一つ心残りは、コロナのせいで餃子を十分に堪能出来なかったので、また宇都宮に絶対来なくては!という気持ちでいっぱいです(笑)またご一緒出来る機会がある事を祈って、、、
この公演をYouTubeでご視聴できます。
是非、ご覧ください。
https://youtu.be/NWxTubcLbMI
(この画面の最下部でもご覧いただけます。)